[My Style Color 01] 素材「そのまま」の表情を、見てみませんか?

2013.10

今月の色

  シエラ*サンドストーン
  茶色とグレーの中間のようなベースカラーに、黒、白、ブラウンの微細な粒が散っています。   
  周りの家具や壁の色調、他のマテリアルとの組み合わせに応じて、
  グレー系とブラウン系、どちらのトーンにも表現できるニュアンスにひかれ、選んでみました。
  今回登場の、素材そのままの表情を生かした家具や床とも、相性がよさそうです。

 

 

 最近、日本の住まいや家具ショップ店頭でも、よく見かけるようになったのが素材そのままの表情。コンクリートも打ちっぱなしのまま、ざらりとした質感が好まれたり、木材なら、節があったり、ひび割れ、仕上げをしないむき出しのまま。布ならヘンプやリネン、ニット編みなど、糸の立体感を感じさせるもの…そんなテクスチャーが増えています。
  たとえば木材ならかつては、温もり、やさしさ、という言葉でひとくくりにされていましたが、今は一つの素材に多様な表現が求められています。
 木目を浮き立たせて強調させたり、工業用の合板をそのまま使ったインダストリアルな感じのものや、切りっぱなしの木のラフな感じなど、木だからナチュラル…ではなく、ネイチャーでワイルドな表現もあるわけです。

写真

 

 

  このキッチンの写真もモダンな白の直線と節のある板目をうまくあわせています。木の表情が強いからウッディ…?いえいえ、バランスの加減で、そんなこともないことがわかります。ちなみに壁際に積んだ薪や、卓上のクルミの山も、素材感を強調する、うまいスタイリングですね。
photo:rational(Germany)

 

 

 パリの人気ライフスタイルショップ「メルシー」のテーブルトップも、こんなにキズキズ!以前なら難あり、と評価された表情も、今では味わいとして楽しむ人が増えました。

 若い世代のリノベーション(中古の物件を自分仕様のデザインにして住むこと)では、少しヴィンテージ感のある素材を、空間アクセントに使っている人が増えつつあります。建築の現場で使われた足場板を再利用した板材も人気があるそうです。雨にさらされ、傷がつき、ペンキが飛び散ったそのままの跡を生かして加工され、床や壁、家具に使うことができます。こういったスクラップマテリアルというのも、一つのジャンルとなりつつあります。 

 

  写真
photo:merci(France)

 

 

写真    また木だから自然素材だけをあわせる、という常識も変わっています。この写真はパリで見かけたコーディネートですが、ほら、樹皮と毛皮のテーブルマットに、豊かなつやのアクリル製カトラリーを合わせています。お互いの素材感が引き立つコーディネートだと思いませんか?
photo:Sabre(France)

 

 右はフェルトのようなふっくらとした布と、カトラリーの柄のアクリルと金属、樹皮がうまいバランスです。

 

  写真
photo:Sabre(France)

 

 どんな素材にも共通することですが、素材を遠慮がちに使うのではなく、その持ち味や表情をしっかり生かしきることができれば、それがそのまま空間デザインの一部になるのだと思いました。
 そのヒントとなる表情は、旅先の風景に、レストランで出された食事の一皿に、ふと目にした写真の中に、隠されています。
 素材の表情、ちょっと気をつけて、見てみませんか? きっと将来のインテリアの参考になるはずです。

 

 

 

 
 
本間美紀プロフィール

 早稲田大学第一文学部卒業、インテリアの専門誌「室内」編集部へ入社。独立後はインテリア、キッチン、デザイン、暮らしの分野で編集執筆活動を続けています。
 自分らしい暮らしを実現した住宅や家具やインテリアの最新情報の取材に、海外から国内まで駆け回っています。
  いろんなマテリアルも大好きで、じっくり見てしまいます。
 
 最新刊 「リアルキッチン&インテリア」(小学館)   
 ブログ キッチンのこころ http://kitchen-journal.exblog.jp

 

 

 コーリアン®スタッフからひとこと

 コーリアン®のブラウン系にはさまざまな表情があるのをご存知ですか?
 例えば、シエラ*サンドストーンは天然石のような風合い。モンタナスエードはなんと革をも思わせる表情なのです。
 いずれもしっとりとした質感で革張りのソファや木のテーブルのある空間におすすめです。

 

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