[My Style Color 14] 時を経た色、使い続けることで生まれる色

2014.11

今月の色   ソレル
  すかんぽ…って知っていますか? ソレルはすかんぽという草の英名です。
  英米文学などで、時々見かける名前ですね(スープなんかにつかわれます)。
  時を経た原生林のこけの緑や樹皮の色なども参考にした、時の深みを感じさせる色です。

 

 

素材に関していつも思うことがあります。
それは素材は、手に入れた瞬間の表情がスタンダードではないということです。
床でも壁でも外壁でもキッチンでも…完成したばかりの状態は、本当の姿でありません。
けれども日本はどうしても「新築信仰」が強く、傷一つないような状態をよしとしがちです。住まいの中で、ちょっとした小さな傷や汚れが気になる。あなたもそんな経験ありませんか?
 
  photo: 古びたロフト風の雰囲気を醸し出す無垢材のキッチン TEAM7

   テーブル、椅子、ソファ、キッチン、床、壁…私はたくさんの取材をしてきましたが、素材として万能なものは一つもない、ということをいつも実感しています。傷がつかない素材も、古びていかない素材はありません。金属でさえ、光沢は鈍くなり、新品時はシャープだった表情もどこか、まろやかな感じになってくるのが不思議です。時間の魔力なのでしょうか。
photo: 経年変化を演出した金属やガラスの表情 Scavollini  

 たとえば住宅雑誌に掲載されるのは、竣工したばかりの美しい状態。素材もまさに工場から出荷され、施工されたばかりのピカピカの状態。
実際に取材で行く時は、1年くらい住んだ状態を見ます。
するとその家の人の心持ちがわかるのです。

 住む人が愛せる素材であれば、そこはよく手入れされています。1年くらいではまだ若い状態で、これからの10年、20年、どう育っていくのだろうと思います。多少、傷がついていても、やっぱりこうじゃなかったと思う部分があっても、お手入れすることで、その素材はだんだん家になじんでくるのです。

 一方で、どんなにすぐれた素材で美しいデザインを実現していても、それが建築家の一方的な美学だけのもの、イメージだけで選んでしまったものは、すぐにくたびれてきます。本当にその違いには歴然とした差があります。

 

 
  photo: 天板にトリュフが育つという樹木をつかったテーブル キッチンハウス

 

最近ではヴィンテージ調、エイジング仕上げなど、新品の時から時を経た雰囲気を持つ素材も人気です。もちろん自分自身で新品をヴィンテージにしていければそれにこしたことはありませんが、そのためには気の遠くなる時間や手間がかかるのかもしれませんね。でも時を経た色は人の心を和ませます。そんな多忙な現代の暮らしには、ヴィンテージ調などのトーンは、必要不可欠な色なのです。

 

 

 

 
 
本間美紀プロフィール

 早稲田大学第一文学部卒業、インテリアの専門誌「室内」編集部へ入社。独立後はインテリア、キッチン、デザイン、暮らしの分野で編集執筆活動を続けています。
 自分らしい暮らしを実現した住宅や家具やインテリアの最新情報の取材に、海外から国内まで駆け回っています。
  いろんなマテリアルも大好きで、じっくり見てしまいます。
 
 最新刊 「リアルキッチン&インテリア」(小学館)   
 ブログ キッチンのこころ http://kitchen-journal.exblog.jp

 

 

 コーリアン®スタッフからひとこと

 「経年変化もせず、末なが〜く、きれいにお使いいただけますよ。」とご説明しているコーリアン®
 もちろん水回りにも安心してお使いいただけます。
 機能的なだけではなく、天然素材などの経年変化してゆく素材ともいつまでもしっくりと相性があうのです。
 機能性も高いコーリアン®と、天然素材を用途によって使いわけ、そのコラボレーションを楽しんでみてはいかがでしょうか?。

 

◀︎Prev(My Style Color 13) ▲ My Style Color Archive   Next(My Style Color 15)▶︎