[My Style Color 05] 「銅」の温かみに魅了される

2014.02

今月の色   バールドビーチ
  一言では色とも柄とも言えない複雑な表情に、目が止まりました。
  今回は温かみある銅の表情を取り上げていますが、そんな深みあるメタルとも相性が良さそうだな、と選んでみました。
  バールドビーチの上に、銅のお鍋が置かれた風景が見えてきそうです。

 

 

 金属というとシャープでクール。そんなイメージがありますよね。私が最近、気になるのは、インテリアや暮らしに温かみある金属を取り入れたシーンです。 その代表が銅でしょう。ステンレス、アルミ、チタン、真鍮など金属にも人気の波があるのかな、と思いますが、銅は金属の中でも特に温もりが感じられます。

 

  

 日本で銅というと、何を思い出しますか? 10円玉? 
 多くの人は卵焼き器を思い出すでしょう。プロの料理人がよく使い込んだ銅の卵焼き器で、卵をくるくると巻いているのを見ると見とれてしまいますね。熱伝導がよい銅のお鍋はパティシェの間でも愛用されています。繊細に熱を伝えるので、砂糖やバターの香りを保ちながら、溶かすのに適しているそうです。
そんな特性と温かみが再評価されて、日本のキッチンでも銅のお鍋が増えてきているように思えます。

 たとえばフランスの「モヴィエル」というお鍋は、製菓職人が乳製品の買い付けに通うノルマンディー地方で、プロ向けのお鍋として発達したそうで、最近、日本でも発売されるようになりました。

Photo:mauviel(fujii)    

 

 ステンレスやアルミの不変の硬質感に対し、銅は経年変化を経て、表情を深めていく一面が魅力的です。酸化し、手に触れるだけで色が変わりそうな敏感さも、かつては敬遠されていた特性ですが、今では使う人の手の温もりを反映させるようで、これが魅力になっています。

 銅がアクセントになる場面の一つが照明。
シェードに銅を使ったダイニング照明もよく見かけます。その下にくるテーブルトップは味わいのある表情のものが良さそうですね。
イギリスの「トム・ディクソン」は、いち早く真鍮や銅を照明器具のデザインに取り入れ、ブームをつくったと言えます。

 
  Photo:tom dixon

 

   そして最近見かけてビックリしてしまったのが写真のこちら。大胆な銅のカウンターです。ある展示会でのプレゼンテーションだったのですが、赤褐色の銅の色合いと直線的なデザイン。この組み合わせがとても美しく、思わず目を留めてしまいました。実際の生活で取り入れるのはなかなか難しいでしょうが、銅という素材の色気と品格を感じさせます。銅だけでもいいですが、木や石、濃厚な色の素材など、異素材との組み合わせも面白そうと思いました。
 
Photo: menu  

 

 そして日常で取り入れるなら、小さなアイテムもおすすめです。カトラリーはステンレスが多いですが、こんな風に銅のものを添えるだけで、食卓がほんのりと温かくなります。私も銅のカトラリーを舌で触れたことはありませんが、どんな触感がするのでしょうね。   

 

 

 

 
 
本間美紀プロフィール

 早稲田大学第一文学部卒業、インテリアの専門誌「室内」編集部へ入社。独立後はインテリア、キッチン、デザイン、暮らしの分野で編集執筆活動を続けています。
 自分らしい暮らしを実現した住宅や家具やインテリアの最新情報の取材に、海外から国内まで駆け回っています。
  いろんなマテリアルも大好きで、じっくり見てしまいます。
 
 最新刊 「リアルキッチン&インテリア」(小学館)   
 ブログ キッチンのこころ http://kitchen-journal.exblog.jp

 

 コーリアン®スタッフからひとこと

 バールドビーチは、寄せては返す波が描き出す砂の文様、そしてそこに流れ着く 流木や小石のように、
 自然界で時の流れが生み出す素朴な美しさを表現しています。
 さりげない高級感は、さまざまな空間に溶け込み、落ち着きを与えてくれます。

 

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