血液でつながる生命をデザイン見学コースの始まりを飾るレリーフ

日本赤十字社では、医療機関などへ血液製剤を供給する血液事業を、これまで各都道府県の血液センター単位で行っていたが、安全かつ、安定した供給をめざして、2012年4月から広域的なブロックを単位とする運営体制を導入、全国に7ヵ所のブロック血液センターが開設された。大阪府茨木市にある近畿ブロック血液センターもそのひとつだ。

各センターには、関係者や広く一般の方へ向け、血液事業の活動を紹介する見学コースが設置されはじめているが、近畿ブロック血液センターにも「“KIZUNA” World」と名付けられた見学コースが設けられている。

「その名の通り、命と命、心と心をつなぐという、わかりやすいテーマを、どのようにデザインに落とし込むかを検討し、赤いリボンで表現することになりました」とおっしゃるのは、同センターの設計・施工を担当した株式会社丹青社のチーフデザイナーである湯沢幸子氏。

見学コース内の壁面には、一本の赤いリボンがコースの始まりから終わりまで一つながりで描かれている。

「どこにいてもマインドが途絶えないように、エレベーター、階段室まで、くまなくリボンがつながっています。そうやって意識をつなげることで、見学したことをしっかり記憶に刻んでほしい。ここへ来たことがきっかけで、若い世代にも献血に対する意識を高めてもらえればうれしいですね」と、丹青社のプリンシパルクリエイティブディレクター洪 恒夫氏。


「“KIZUNA” World」では、実際に行われている製剤作業や検査の様子が見学できるほか、学習用の映像なども視聴できる。コーリアン®でつくられたレリーフから壁面のグラフィックへ、とぎれることなくリボンがつながっていく。

 

リボンの始まりは、見学コース入り口に設置された大きなレリーフ。人間と動物のシルエットがリボンと同じ赤い線で描かれた白いレリーフは、コーリアン®グレイシアホワイトで製作された。

「出会いがしらに、何か強いメッセージを伝えたいと考え、このレリーフを提案しました。わざわざ見学施設まで来てくださった人に思い出として刻んでいただくためにも、情報だけではわからない物質感やアート作品のようなインパクトを持たせたかった」と湯沢氏。

シンプルでありながら、単調にならず、求める施工精度を実現できる素材で、さらに修理が必要になったときも安定して調達できるということで、コーリアン®が選ばれた。

「血液事業というお仕事柄、お客さまは安全第一で衛生面には細心の注意を払っていらっしゃいます。ですから、見学コースに使用する素材についても、安全性やメンテナンス性を非常に重視されました。その点、いくら手で触れても表面が剥落しないコーリアン®は自信を持っておすすめできました」と話してくださったのは、丹青社の営業担当の高下真希子氏。

施設に入ったとたんに目を奪われ、思わず触れてみたくなるインパクトのあるレリーフ。その意匠とともにコーリアン®の手触りも訪れた人の記憶に刻まれるのだろうか。

レリーフ部分の赤いリボンはアクリル樹脂に赤いフィルムを貼ったもの。リボンの質感を演出するため5種類の赤色を貼り分けている。暗くなると背面に組み込まれたLEDライトが点灯してまた違う表情を見せる

 

●所在地   大阪府茨木市彩都あさぎ7-5-17
       http://www.kk.bbc.jrc.or.jp/
●見学エリア床面積 約1,000㎡
 パネルサイズ 2,700×2,700×200mm
●竣工     2012年2月
●設計・施工 株式会社丹青社
       プリンシパルクリエイティブディレクター 洪 恒夫
       チーフデザイナー 湯沢幸子
●コーリアン®加工協力会社 株式会社エイペクス

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