複合的な機能を備えた什器デザインはシンボリックに

広島本通商店街は、週末には10万人もの人手で賑わう広島のメインストリート。
その地で20年前から店舗を構える「ビームス広島」が、約13年ぶりの改装工事を終え、2016年10月にリニューアルオープンした。
ビームスでは、店舗ごとに、地域の特性をデザインや設計に取り込むことを旨としている。今回のリニューアルで、デザインを手がけたサウザンドの佐藤真学氏に、お話をうかがった。

「広島という土地には、芸術やアートに対して寛容で新しいものを受け入れる土壌があると感じました。そこで、周辺のオーセンティックな建物とは一線を画す、モダンなアプローチを試みました」。

一方で、20年という実績があり、常連客も多いため、1階はレディス、2階がメンズという構成はそのままとし、真っ白な壁で立体的にコーナーを区切り、回遊性の高いレイアウトを実現した。

「壁を設けてスペースを区切ることで、価格帯やコンセプトの異なるレーベルごとのスペースをつくり、それぞれの商材をより魅力的に引き立てる店舗を提案しました」。

この新しい店舗のエントランス正面に置かれているのが、 コーリアン®製の什器だ。ソファと展示用什器、植栽が融合したインテリア性の高いデザインと量感で印象的な存在となっている。

「レディス商材のディスプレイやシューズコーナーのベンチなどの機能を満たしつつ、植栽を組み合わせるなどして、店舗全体の入り口にふさわしいパブリックな雰囲気、シンボリックな存在になるよう配慮しました。形も複雑で、求められる条件が多くなりますので、デザインが決まると同時に、素材は コーリアン®にと考えていました」と佐藤氏。

カラーは、流れ模様のあるデュポンプライベートコレクションのウィッチヘーゼルを選択。

「天然石のような高級感のある風合いが気に入っています。
壁面を無地で白に統一しているので、そのほかの素材は、本物または本物に見える色柄にこだわって選びました。コーリアン®は、シームレスな接合で、ひとつの塊のようにに仕上げることができる加工性の高さもありますから、丸彫りした石の塊のように感じさせることができるのではと考えました」。

人の往来が多い場所のため、メンテナンス性にも配慮した選択だった。さまざまな商材を展示し、手に触れることが多い場所に使える素材としての信頼性も高かったという。

「ビームスさんでは、耐用年数10年を目標に店舗づくりをしています。ですから、無垢フローリングやコーリアン®など、耐久性だけでなく、使い込むことで味わいが深まる素材を選んでいます」と佐藤氏。

トレンドを発信するだけでなく、いつの時代にも本質に目を向け、暮らし方や生き方まで提案する同社らしい店舗づくり。そうした視点からも、コーリアン®の特性は、求められる条件を満たす素材だと語ってくださった。

 

「ウィッチヘーゼルの柄は、 コーリアン® 独特のものではありますが、一見すると天然の石のような自然さがありますね。それでいて、ソリッドな表現ができる数少ない素材です」と佐藤氏。立体的なデザインの什器は、ディスプレイのバリエーションもさまざまに広げてくれそうだ。

 

 

●所在地 広島県広島市中区本通3-10 本通サザン 1F・2F
●運営 株式会社ビームス
●監修 株式会社ビームスクリエイティブ
●設計 株式会社サウザンド 佐藤真学
●デュポンコーリアン® 加工協力 有限会社アミカ美装