人と人が出会い、アイデアが生まれる。コミュニケーションの要となる3つのカウンター

2013年5月に東京・中野に移転したキリングループ本社。これまで点在していたグループ企業17社の本社機能を一カ所に統合し、会社の枠を越えた連携の強化を軸に据えたユニークなオフィス環境も話題になっている。

「キリングループが推進する総合飲料戦略の一環として、すべての社員がキリンブランドを誇りに感じ、消費者を笑顔にするための意識を高めることができる環境をつくりたいというご要望でした。そこで、社員間のコミュニケーションが自然に生まれ、ひとつのグループであることを意識できるような仕掛けを随所に採り入れました」と話してくださったのは、キリングループ本社のインテリアデザインを手がけた株式会社イリアの宮坂亮子氏。

その仕掛けのひとつが、グループ会社の社員が利用できるマルチスペース「Nagomi」。ここは、ランチスペースとして利用されるほか、ミーティングや試飲会、社内外の親睦会、パーティーなど幅広い用途で使われている。その広いオープンスペースの一角で異彩を放っているのが8mを越えるバーカウンターだ。バックカウンターには、グループ各社の飲料がそろっている。


マルチスペース「Nagomi」のバーカウンター。カジュアルな雰囲気を演出するモンタナホワイトジャスミンを使用。

「この場所の象徴として、社員のコミュニケーションの中心になるカウンターをつくりたいと考えました。そこで存在感のあるソリッドなカウンターにするためにコーリアン®を採用しました」と宮坂氏。 

また、「Nagomi」と同フロアにある会議室エリアの中心にもコーリアン®のカウンターが配置されている。こちらは、やわらかな曲線を描くオブジェのようなデザイン。背景にはさまざまな人種、性別、年齢の人々の笑顔のグラフィックが掲げられ、カウンターとしての機能だけでなく、キリングループの企業理念を象徴するコーナーとして演出されている。

さらに、総合受付のカウンターもコーリアン®製だ。


総合受付カウンターは、一般公開展示スペースと隣接しているため、ビジネスライクではない明るい雰囲気に。カウンター前面にあしらわれた葉っぱのデザインは展示スペースと共通のモチーフ。

「実は今回はじめて、光を透過させる手法を採用しました」と宮坂氏。カウンター内部の照明を点灯すると、前面に葉っぱのシルエットが浮かび上がるというデザイン。

「照明の配置など工夫をしましたが、オフィスのような明るい空間でも、きれいに濃淡の差がでて、狙い通りに見えることがわかりました。表面はフラットであるのに部分的に光って見えるという不思議さもいいですね」。

これまでは、シームレスな造形が可能であることや、使いやすい素材の質感などから、コーリアン®を採用することが多かったという宮坂氏。

「文字を光らせるとエッジがシャープにならずに、やわらかい雰囲気になりそう。今後はサインなどにも使ってみたいですね」と新しい用途へのアイデアも語ってくださった。

 


50を越える会議室が集まる18階フロアのカウンター。総合受付カウンターとともに、フォーマル感のあるグレイシアホワイトを採用。

 

●所在地   東京都中野区中野4-10 - 2 中野セントラルパークサウス
●延床面積 約27,300㎡
●竣工   2013 年3 月
●インテリアデザイン 株式会社イリア
●カウンター施工   住友不動産株式会社 株式会社三越環境デザイン