三次元の曲線をシームレスに。新感覚スタンディングバールの光る柱

JR新橋駅から徒歩数分。飲食店が立ち並ぶにぎやかなエリアを抜けると突如として現れる個性的な店舗。「TOKYO 串 BAR」は、洗練された創作串料理を、手軽に楽しむことができる新感覚スタンディング串バールだ。業務用フライヤー「ウォーターフライヤー」のショールームも兼ねているという。

 店舗はオープンエアスタイルで、内装の一部である、コーリアン®で作られたたくさんの光の柱がそのまま看板のようになり、道行く人の視線を捉えている。

 「これまでの立ち飲み店の印象を一新したいという思いと、"どこにもない空間をつくりたい" というオーナーの希望を、このようなかたちで表現しました」と話してくださったのは、店舗のデザインを手がけた今福彰俊氏。店舗全体のイメージは、「ウォーターフライヤー」の特性でもある、水と油の分離する様子を表現。さらに、「空・雲」といったイメージも重ねているそうだ。

「飛行機に乗って、雲の上に出たときの、なんとも言えない爽快感や気持ちのよさを表現したかった。雲の上で食事をしているような気分を楽しんでもらいたいと考えました」と今福氏。

 特徴的な光の柱は、機内から見える、空を覆う雲の間から地上へ降りそそぐ、幾筋もの太陽の光線をイメージしている。「太陽の光のように、透き通っていて、力のある光を表現できる素材は何かと考えました」と今福氏。候補にあがったのは天然石や布、そしてコーリアン®だったが、混ざりもののないソリッドな材質、油や汚れにも強いという点で、コーリアン®が採用された。

「正直にいうと、どのくらいきれいに透光するか半信半疑でした。そこで、実際に光柱に使っている10mmのグラーサソリッドホワイトで透光性の実験をしたところ、見た瞬間にOK、これでいこうと決めました」。

 


店内に油がこびりつくことがない「ウォーターフライヤー」の特性を強調するため、あえて白を基調に採用。光柱をランダムに配置することで、空間の奥行きを感じさせている。


光柱は、曲げ加工によってコーリアン® の板厚にばらつきができないよう、また最小限の継ぎ加工ですむよう、試行錯誤を重ねて、最終的に縦3分割で製作。高い加工技術に支えられて、「シームレス」な「三次元曲線」で「均質に光る」柱が完成した。

これまでに手がけてきた物件でも、さまざまな光の使い方で空間を演出してきた今福氏は、「空間デザインの7〜8割は光の使い方で決まる」というほど、光にはこだわりをお持ちだ。「コーリアン®を使うと、光がまろやかになって、人の肌もふわっと滑らかに映りました。狙いどおりにそれができて満足ですね。光のやわらかさを演出するには、とても有効な素材。色温度によって、素材そのものの色合いが変わったり、光を強くしてもオブラートで包まれたようなやわらかさは残る。すごくおもしろい素材です」という今福氏の言葉は、光との組み合わせで広がっていくコーリアン®の可能性について、多くの示唆を含む内容だった。

 

 

●所在地 東京都港区新橋5-5 -5 新橋ビル1F
●床面積 18.58㎡
●竣工  2012年9月9日(同10月9日開店)
●事業主 株式会社ドレミファ
●設計  株式会社スーパーマニアック
●施工  株式会社h 2プランニングデザイン
●光柱照明ディレクション 株式会社t.c.k.w
●コーリアン® 加工協力 株式会社エイペクス

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