ランデブー・トヨタ(パリ)

photo: Jean-Pierre Delagarde

ランデブー・トヨタ(Le Rendez-Vous Toyota)がパリのシャンゼリゼ通りにオープンしました。

 

このショールームでは、今までになく大きいコーリアン®の製作物がつくられました。設計したのは、フランス有数のデザイナー、Ora-ïto(オラ イト)氏です。

トヨタのブランド・エクスペリエンス・マネージャー、エバ・シーグラー(Eva Ziegler)氏は、次のようにコメントしています。

「イノベーション、高い品質、そしてテクノロジー。現在と未来に対する我々の考えを紹介する、特別なショールームを新しくデザインする上で、トヨタの3つのコアバリューは重要な項目でした。
オラ イト氏のプロジェクトは全体を通じて、これらのコアバリューに合致していましたが、それは大きな挑戦でもありました。氏が提案したバーチャルなイメージを、現実の空間に再現しなければならないからです。
これを成功させるためには、プロジェクトに献身的に取り組み、対応の早いチームづくりが重要でした。オラ イト氏、ティエリー・ルルー(Thierry Leroux)氏が率いるLba Performances社、そして、加工施工を担当したCréa Diffusion社がチームとなって、プロジェクトを実行しました。
この仕事は8か月に及ぶ過酷なプロジェクトになりましたが、成果は期待をはるかに上回るものでした」

オラ イト氏が選んだグレイシアホワイトのコーリアン®は、現実の空間に非日常的な印象をもたらしました。

デザイナーはブランドの思想とメッセージを理解し、それを建築表現に落とし込みます。

「ブランド各社は、私の宇宙を覗こうとします」とオラ イト氏は言います。

「私の仕事は、私の世界とブランドの宇宙を融合させることです。私がコーリアン®と発光ダイオードを使ってデザインしたトヨタの空間を見た時、人々はこう言うでしょう。『まさにオラ イトだし、まさにトヨタだ』と。私は未来が好きですし、明日に惹かれます」

本人の言葉を借りれば “コーリアン®に首ったけ” だという、オラ イト氏。氏は既にパリジャン御用達のクラブ「Le Cab」やミラノデザインウィーク2005のための期間限定の美術館」で、コーリアン®を使った経験がありました。

 

 

コーリアン®は熱による曲げ加工や、機械を使った加工、サブリメーションや継ぎ目のない接着ができ、照明効果を演出する透光性もあります。これらを活用すれば、流れるようなラインを描く空間をつくりだし、それを強調することができます。

ランデブー・トヨタでは、400㎡近くのコーリアン®が使われました。階段では踊り場や手すりがコーリアン®で覆われ、展示スペースでは、柱巻きやキーボードを埋め込んだカウンター、展示のための台などに、化粧室でもカウンタートップやサインにコーリアン®が使われています。階段脇の壁面パネルもすべてコーリアン®製です。階段脇に設置された壁面パネルは、背後にコンピューター制御されたLED照明が仕込まれており、光の演出で目を楽しませてくれます。

施工を担当したCréa Diffusion社のプロジェクトマネージャー、フランソワ・プロヴァンス(François Provence)氏は言います。

「我々はまず初めに、長時間のブレインストーミングを行ないました。プロジェクトの成功は私たちの意思決定に左右されるため、これは非常に重要でした。そしてコーリアン®の永遠とも思える加工作業が始まりました。6月のことです。

今回、加工にはまったく新しいアプローチを採用しました。このアプローチでは仕上がりの美しさが不可欠でした。コーリアン®は最もふさわしい素材でした。また、コーリアン®がインテリアデザインで他のものと組み合わせて使われた、フランスでは初めての例でした。

この試みでは、我々のこの素材に関する経験とノウハウが重要でした。私たちにとってはそれまでに全く経験のない仕事だったのです。その内容は、パネル裏側に設置する1000個のLEDに適した形状を見つけること。しかも、その際には光の演出効果を考慮しつつ、機械加工する前のコーリアン®シートの微調整や建築規制への適合も考えねばなりませんでした。要するに、無数の課題があったのです」

氏は続けます。

「コーリアン®を扱ううちに、最終的に、我々はより多くのことを学びました。物体(本物の車)から光へ、そして、それがグラフィックへと変わる展示はまさにブレイクスルーでした。物体と平面のグラフィックの組み合わせという、新たな可能性が示されました」

どんなに洗練された加工技術が使われていても、竣工してしまえば、それは表には現れません。けれども、コーリアン®が無限の創造性を秘めているという感覚は広く認められています。加工業者や施工業者の方にはぜひ、それを念頭に置いていただきたいと思います。最終的に人々が見られるのは完成品だけです。ですから、技術面に加えて情緒面での素材特性も理解し、感性にも重点を置く必要があるでしょう。

 

 

ランデブー・トヨタのお陰で、コーリアン®はシャンゼリゼ通りで最もポピュラーなデザイン素材となりました。シャンゼリゼ通りにある名だたるブランド、グラン・オプティカル(Grand Optical)、セフォラ(Sephora), SFR、ラトリエ・ルノー(L'Atelier Renault)、ハーゲンダッツ(Häagen-Dazs®)、ピエール・リコー(Pierre Ricaud)といったカフェや化粧品店でも、この素材を見ることができます。