甘く幸せな香りが漂う お菓子広場のシンボル

 贈答用アソートクッキーのパイオニアである「ちぼり」が、2017年11月に湯河原の自社工場を、直営ショップなどを併設した「五感で楽しむスイーツファクトリー」としてリニューアル。

 「当社初の小売店舗ともいえる『お菓子の道の駅』のイメージで、お客様の反応も直接わかりますね。リニューアルにあわせて湯河原のみかん、片浦のレモンを使ったご当地スイーツも開発しました」とお話しくださったのは「ちぼり湯河原スイーツファクトリー」店長の大木弘丈氏。

 店舗設計を手掛けたのはwachinetの和知暖子氏だ。
「菓子工房やカフェ、体験コーナーなども併設し、地元の方々と観光客の方々にも
立ち寄っていただけるスペースを提供したいとのお話でした。限られた面積に多彩な要素をどのように収めるのがよいか検討しました」。

 そこで、社名である「ちぼり」の名前の由来となったイタリアの都市「チボリ」の噴水からイメージを膨らませ、円形広場の周りにお菓子のマルシェが広がるというコンセプトを提案。
「中心には、ちぼりさんのロゴを立体化したオブジェをつくろうと思いました」。

 和知氏はそのアイデアを、店舗の施工を担当する石渡産業の石渡慎一氏に相談。「中心に置くオブジェとしてふさわしい品格があり、お菓子の材料をイメージさせる白を使いたいという話を聞き、素材にはコーリアン®がよいのではないか
とお勧めしました」と石渡氏。「自然素材に匹敵する素材感や華やかさがあり、衛生的。末永く同じ場所にあり続けるシンボルの素材として経年変化が少ない点もぴったりでした」と和知氏。
 早速、コーリアン®の加工を数多く手掛けるエイペクスの榎本治展氏を交え、三者でイメージを形にしてゆく作業がはじまった。

 「デザイン性」と「コスト」「強度」を両立するため、さまざまなつくり方が検討されたが、最終的には榎本氏からの提案でドーナツ状のパーツを30~40層に重ねてつくる方法を採用。「設置後に分解して移動する可能性があるということや安全面も考慮してこの構造がベストだと判断しました」と榎本氏。

 こうして完成した噴水のオブジェは、砂糖菓子やメレンゲのように美しく上品な佇まいに。甘い香りに満たされた店内で、次々に生み出されるおいしい笑顔を象徴するように、時を超えて輝き続けるシンボルとなることだろう。

 

 

●所在地 神奈川県足柄下郡湯河原町土肥1-15-4
●運 営 株式会社ちぼり(http://www.tivoli-factory.com/)
●設 計 wachinet 和知暖子
●施 工 石渡産業株式会社
●コーリアン® 加工協力会社 株式会社エイペクス

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