ホテルのようなラグジュアリー感で 学生を受け入れる専門学校

2019年4月、世田谷区に東京山手調理師専門学校(認可申請中)が誕生予定だ。開校に先立って完成した校舎は既存のオフィスビルを全面リニューアルした建物。調理に使われる「火」をイメージした赤色をアクセントにしたモダンな外観は、デザイナーズホテルのような佇まいだ。

「こちらは、大阪の学校法人である村川学園の東京での2校目の調理師専門学校になります」と案内してくださったのは施工を担当した薩摩建設の松村俊明氏。2016年に渋谷に開校した同法人の山手調理製菓専門学校の施工も手掛けたそう。

「世田谷の校舎は、内装をスケルトン状態に戻してからの大規模なリニューアル工事でした」と松村氏。建物内には、和洋中の実習室をはじめ、寿司カウンターやバー、カフェトレーニングのためのケーキショップなども備えている。

「学校らしくなく、というのが、デザインのコンセプトでした」と説明してくださったのは、設計を手掛けたマッズプランニングの神山新氏。調理師専門学校として必要十分な機能を満たしながら、上質感やインテリア性、遊び心のあるデザインを取り入れ、他校との差別化を図ったという。

「クライアントは、数ある競合校の中から、より多くの学生に選んでもらえるよう、プログラムや設備を充実させるだけでなく、校舎のデザインもPRやブランディングの一環と考えています」と神山氏。

各階の実習室もデザイナーズレストランのキッチンさながらだが、圧巻は、何といっても2階まで吹抜けの広々としたエントランスホールだ。
木製ルーバー貼りの天井と大理石調タイルの床、ラグジュアリー感溢れる中に大きなインテリアがゆったりと配置され、正面奥には、ほんのり輝くコーリアン®で作られた受付カウンター。まるでホテルのロビーのような空間が広がっている。


「2階天井の照明と1階のインテリア、受付カウンターのデザインをすべて『サークル』でリンクさせています。上下階を一つの統一された環境として捉えられるように設計しました」。

 受付カウンターは、大きな弧を描きながら隣接する壁に吸い込まれていくダイナミックかつ繊細な形状。カウンタートップから側面、蹴込み部分まで、デュポン️プライベートコレクションのシラスホワイトを用いて、曲げ加工とシームレス接着で、流れるようなフォルムを実現している。

「アールのデザインでは、目地やつなぎ目がでないという点で、コーリアン®を使うことが多いですね。独特の素材感も、やわらかさや上質感を演出できる要素だと感じます」。

水回りはもちろん、店舗のカウンターなどで、白系のコーリアン®を採用することが多いという神山氏。「ボリューム感のある造作に用いる場合、単色の白だとのっぺりとした印象になりがちなので、流れ模様の白系の中で一番上品に感じるシラスホワイトを選ぶことが多いですね」と話してくださった。

次の春には、この美しく整えられた校舎に多くの学生が集い、活気で溢れていることだろう。

 

●所在地  東京都世田谷区深沢8-19-19
●運営   学校法人村川学園
●設計   株式会社 マッズプランニング
●施工   薩摩建設株式会社
●コーリアン® 加工協力会社  株式会社 インテック

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