働く環境を心地よく整えた 世界基準のモノづくり拠点

 1957年創業の日本圧着端子製造は、携帯機器や自動車などに使用される電子接続部品コネクタのメーカーで、国内NO1のシェアを誇るリーディングカンパニー。世界18カ国に拠点を持つグローバル企業で、国内にも22の拠点を置く。

 開発拠点の1つ「東京技術センター」の新棟が2017年末に完成。設計・監理を手掛けたのは岡部憲明アーキテクチャーネットワーク。同事務所が日本圧着端子製造の建物を手掛けたのは、東京技術センターで6つめになる。

 「今回は、一期工事として2009年に竣工した棟と中庭を挟んでつながる新棟を増築し、この二期工事で東京技術センターの建替えが完了しました。新棟は地上5階、地下1階の建物で、業務に必要な空間をコンパクトにまとめながら、吹抜けや屋上菜園を設けるなどして、心地よく働ける環境を整えています」と岡部憲明氏。

 2階から4階は、営業職のスタッフが使用する執務スペース。各階をつなぐ吹抜けに面して開かれたオープンスペース型のオフィスは、間接照明の光がやわらかく反射する筒型のボールト天井が特徴的な空間だ。


 
 曲線の美しい天井に合わせてデザインされた照明はコーリアン®で製作。 
「天井というのは、空間の中で視界に占める割合も大きいので、大事にしている部分です」。と話す岡部氏の手掛ける建築では、天井裏には空調ダクトを配置せず、天井の高さを確保し、点検口などデザイン的に余分な要素を増やさず、照明の光源を見せないなど、いくつかの共通するルールが適用されている。

 「今回は、一期工事と同じボールト天井を採用しました。連続して美しく納まる天井に対して、照明器具も同じぐらいの精度で納めたいと考えていました。既製品の照明器具を使用すると、どうしても継ぎ目が生まれてしまいますが、シームレス接着ができるコーリアン®なら、理想的な照明器具をつくることができるのではないかと考えました」と同事務所の山口浩司氏。

 そこで、長さ4900㎜の照明をコーリアン®で製作し、ボールトの間から吊り下げるプランを作成。照明器具自体は骨組みや継ぎ目がまったく見えない仕上げで、天井への取り付け部分も見えにくく工夫されている。

「コーリアン®は、それ自体で形をつくることができるので、必要なパーツが少なくなり、コスト的にも十分見合うのではないかと判断しました。実際、既製品のデザイン照明を使用するよりもコストを抑えることができました」とのこと。

 「オフィスであっても、空間の豊かさやアットホームな部分は必要だと考えます。日本圧着端子製造のオーナーはそうした考えにも非常に理解をお持ちです。グローバルな企業ですからなおさら、そうした意識が高いのかもしれませんね」と岡部氏。

 心地よく整えられたオフィス環境からは、企業としての魅力を底上げし、優秀な人材の確保、定着につなげたいという想いも伝わってくる。

 

●所在地          神奈川県横浜市港北区樽町4-8-24
●設計・監理        岡部憲明アーキテクチャーネットワーク
●コーリアン® 加工協力会社 株式会社エイペクス

よく似た利用シーン