見て、触れて実感できる 未来へと続くストーリー [コクヨ 品川SSTライブオフィス]  

 コクヨが全国で展開している「ライブオフィス」をご存じだろうか。大手文具メーカーとして広く知られる同社だが、実は、文具やオフィスファニチャーといった「モノ」のみにとどまらず、オフィスの空間の在り方を通じて新しい働き方の提案にも力を入れている。
 「ライブオフィス」は、同社の社員が実際に働いている姿を公開し、働き方に関するさまざまな課題を解決する「オフィスの使い方」を具体的に提案するという画期的な取り組み。約50年前にスター トし、現在では「霞が関ライブオフィス」、「梅田ライブオフィス」、「名古屋ライブオフィス」をはじめ、全国28拠点に設けられている。
 
 今回ご紹介する「品川SSTライブオフィス」 は、2017年10月、首都圏に分散していたいくつかの拠点を統合移転する形で新設された。

 「移転にあたり、弊社の社長から、これまで別々だったステーショナリー部門とファニチャー部門が集約されたということを実感し、この先のコクヨが目指すべき姿を体感できるオフィスにしたいとの要望がありました」と、新オフィスのデザインを手掛けた同社の石井一東氏。
 その要望を形にするべく、エントランス空間のコンセプトを「ONE STROKE . NO LOOP . NO END.」とし、空間全体で、「一本の太い線として未来に向けて成長し続けること」をダイナミックに表現。床に貼られた150㎜角のモザイクタイルを起点に、コーリアン®でつくられた造形が、ベンチからテーブル、ディスプレイへと連続して変化しながら、最後は天井へとつながっていくデザインで、同社の過去・現在・未来を具現化した。

オフィスを案内してくださった同社ファニチャー事業本部の近藤崇弘氏によると、「弊社の事業は一枚の紙からスタートし、次に帳簿を収めるキャビネットなどの家具づくりがはじまりました。やがて文具や家具を売るだけでなく、空間を構築する事業へと拡がっていった歴史も表現されています」とのこと。

(上) コーリアン®でつくられた「ストーリング」はまるで宙に浮かんでいるように見えるが、ミラーステンレス製の脚部に床材のタイルが映り込むように計算して、浮遊感を演出。
(中)(下) 「品川SSTライブオフィス」は 約1460坪のフロアのほとんどがフレキシブルなオープンスペースで、エリアごとにテーマを変えてさまざまな「働き方」「オフィス空間の在り方」を提案。(画像提供:コクヨ株式会社

 デザインの核となっているコーリアン®でつくられた未来へと向かう一本の線には、「ストーリング」という名前がつけられている。
 「ここから新しくストーリーが生まれ、続いていくという意味と、一本の線をあらわすストリングの意味を込めました」と石井氏。

 その素材として、コーリアン®を選んだ理由もうかがった。
「床から天井まで、連続する面材でつながっていくデザインのため、ジョイントが目立たないことが条件でした。さらに、ベンチやテーブルとして利用することを想定していましたので、人が触れたときの温かみや感触も重視しました。空間や肌に馴染みやすい独特の優しい素材感を持つコーリアン®を中心に置いたことで、エントランス全体の印象が未来的になりすぎず、やわらかく仕上げることができたと思います」。

 モダンな中にも、心地よさや人に寄り添う温かみを忘れないデザインに、同社らしさを感じた。

 

コクヨライブオフィス
https://www.kokuyo.co.jp/com/liveoffice/
・所在地  東京都港区港南1-2-70 品川シーズンテラス18F      
・デザイン コクヨ株式会社
     

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