Lubi ThomasとAdrian Davis of davisthomasの、2人から成るアートユニット"Davisthomas"は主にパブリックスペースに置かれる作品に取り組んできた。その場所のコンテキストを実際の作品に結びつけるというプロセスにおいて重要なのは、作品に触れる人々の感情や物語をいかに生み出すかということ。
そのような創作を実現する素材を探しており、コーリアン®は何年も使ってみたい素材にリストアップされていた。
今回の作品に名付けられた"Furling"は、“巻きつける、巻き上げる”という意味で、船が沖につく、沖から離れる動きや、航海の流れ、回転などを表している。そのようなイメージを形にするには、複雑な形状に加工でき、支持用のフレームを使わず、自由な動きを出せる素材が必要だった。
アート作品「Furling」はコーリアン®のベナーロホワイトでつくられました。デザインと写真:Lubi Thomas,Adrian Davis(davisthomas). All rights reserved.
壁に取り付けられた2つの彫刻は全長9m、もっとも広いところで幅は1.5mある。ベースになっているのはヨットの索具をヒントにしてつくったステンレススチールの支持と積層肋材。構造物の表面を覆うのは、45㎜幅にカットしたベナーロホワイトのコーリアン®だ。この板の張り方は伝統的な船の作り方を参考にしており、視覚的に縦の線を強調すると同時に、ダイナミックな動きをつくりだしている。制作には3ヶ月を要した。(制作過程はこちらで視聴可能)
アート作品「Furling」はコーリアン®のベナーロホワイトでつくられました。デザインと写真:Lubi Thomas,Adrian Davis(davisthomas). All rights reserved. | |
アート作品「Furling」はコーリアン®のベナーロホワイトでつくられました。デザインと写真:Lubi Thomas,Adrian Davis(davisthomas). All rights reserved.
特別に作られた治具により、作品は上下左右に動いたり、わずかにねじれたりする。"Davisthomas"はこの制作を通じて、コーリアン®の可能性を感じたという。熱曲げによりスピーディーに形が作れるほか、固定・接着・仕上げが容易なため、制作過程が表に見えにくい。継ぎ目のない長い線をつくったり、土台に固定するためにステンレス製のデッキネジを使うこともできた。
「今回初めて使用したが、この作品ではコーリアン®の可能性の一端にしか触れていない」と"Davisthomas"は語っている。さらなる形状や他の素材との組みあわせについての研究を既に始めているという。